傍観から行動へ――。これは私の人生を送る上でのテーマの1つです。私事で恐縮ですが、30年ほど前、ちょっとした出来事から、改めてその必要性を感じたことがありました。
その頃、私には喫煙の習慣がありました。当時住んでいた神奈川県のある町で、土曜日の午後、くわえタバコで自宅への帰路を歩いていました。この地域ではボーイスカウトの活動が盛んで、ちょうどその時分に幼い男の子たちが道路の清掃に一生懸命、汗を流していました。そこで、私は何の罪悪感もなく、タバコのポイ捨てをやってしまったのです。
先日、長野県の諏訪市に仕事で足を運びました。仕事を済ませた後、時間が余ったので、温泉場に赴き、1時間ほどゆっくりつかることにしました。そこでひとつ驚き、感心する光景に遭遇しました。温泉場のトイレのスリッパが掃き口を入口方向に向け、掃きやすいように並べられていたのです
人間にとって最も重要な活動のひとつは、「考えること」です。ではなぜ考えるのでしょうか。この本質的なことについて、昨今はほとんど議論されなくなったように思えます。
このことは、我々が日常的に使っている言葉に対する定義が曖昧になっていることと無縁ではありません。そのほかにも、「意思決定」、「リスク」、「管理」、「目標」、「教育」、「コミュニケーション」など、それぞれの定義を意識しながら使う人は少ないのではないでしょうか。
実刑を受けた堀江被告がよく口にした言葉で「想定内」というものがあり、数年前に流行語にもなりました。実はこの想定内、そしてその反対の想定外という発想は、将来起こりうるリスクに対して、用いる場合が多いものです。