マスメディアや世間を騒がした参議院議員選挙が幕を閉じました。今回の結果は、日本の政局に大きな影響を与えることでしょう。しかし、私はそうした直近の事象ではなく、より本質的なことを考えたいと思います。それは、参議院が本来の機能を全うするために、何が必要かということです。
そのひとつとして取り上げたいのが、参議院議員に選出される「資格」です。日本の議会制民主主義のお手本はイギリスの2院制。イギリスは貴族院(House of Lords)、庶民院(House of Commons)で構成され、貴族院は名目的存在であるものの、高い審議水準を誇ることで尊敬を集め、庶民院に再考を促す機関として、広く存在意義を認められています。さらに、貴族院はSir(卿)の称号を持つ人たちで占められ、歳費は一切支給されていないそうです。また、2007年にブレア政権が貴族院の改革法案を提出するなど、貴族院本来の精神を伝承するための努力もなされています。
現在の衆参の議員数は717名です。その中には、日本の将来と国民のための国家の経営、そして国家の安全について、真剣に考え、その実現のために、努力を惜しまない政治家も数多くおられます。その方々は、自己犠牲を持って新しいビジョンをうち立て、行動を起こしていることと思います。
家業を継承した当主に能力がなければ、その家業はその時点で間違いなく倒産するか、人手にわたることになるでしょう。ところで、国や省庁は、失敗をしたり、不適切な意思決定をしても、つぶれることはないというのが、一般的な常識です。
私は、20数年前、はじめて広島平和記念公園を訪れました。公園には、戦没者を追悼する慰霊碑や海外から贈られた記念碑が数多く見られました。千羽鶴がかけられたものも見受けられました。そこで、私は同行してくれた広島在住の友人に尋ねました。「米国からの慰霊碑はどこにあるのか」と。しかし、その時点では「ない」との返答でした(広島平和記念公園に確認したところ、今も建立されていないとのことです)。当然あるものと思っていたので、大きな驚きを覚えたのを今でも鮮明に記憶しています。
先日、私が尊敬する元衆議院議員との勉強会の中で、久間防衛庁長官の発言が話題になりました。それに関連して、この真のstatesman(政治屋ではなく政治家ということ)である元衆議院議員は、「戦後に米国大統領が広島を訪れたということはないのではないか」と、言われていました。
国際交流や相手国への理解が重要であることはいうまでもありません。そのために様々な個人や団体が活動をしています。これからは特に草の根運動的な個人対個人の活動が重要視されます。日本も国家レベルでこの領域に対し積極的な支援を展開しています。国際協力基金などはその代表的な例でしょう。
ところで、米国社会や米国文化を深く理解していると思っていた私ですが、最近、大いに反省させられる出来事がありました。
日米同盟関係がより重要になる中、米下院外交委員会で、日本政府に謝罪を求める慰安婦決議案が可決され、7月中にも下院本会議で採決の見通し、という報道があります。これは両国にとって、非常に不幸なことであり、日本政府に傍観するだけでなく、積極的な対応をお願いしたい外交案件です。
ところで、この法案の推進役は、マイク・ホンダ氏という日系の下院議員であります。ご本人の政治的野心から、カリフォルニア州政府から、連邦政府への転身を図る道具として原案を起草し、反日感情の多い、中国系や韓国系米国人の支持・支援を受けたといわれています。私はこの内容について深く触れるつもりはありません。ここで私が問題にしたいのは、日本人を先祖に持つマイク・ホンダ議員が、反日行動の先頭に立っていることです。