飯久保廣嗣 Blog

外交の素人ながら、国民の一人として、中国の歴史認識への日本対応について、今回は触れてみたいと思う。

人類の歴史は戦争の歴史であるといっても過言ではない。その戦争を回避し、平和を実現させることこそが、人類に課せられた解決するべきであり、日本も率先して、世界平和のために自らの役割を果たすことが求められる。

ベトナム戦争時代に、私はある米陸軍の兵卒と平和に関して論議を交わしたことがある。相手は、いかに残酷な殺戮が両者間で繰り広げられたかを、自身の経験を踏まえて語った。その内容は今日振り返っても悲しさに満ち溢れている。そこで、この兵卒に「平和を定義するとどうなるか」と、聞いてみた。すると、「平和とは、紛争や対立が人間の生命・財産に対する脅威なくして、マネージされている状態」という答えが返ってきた。その適切で明解な言葉は今でも鮮明に覚えている。

紛争や対立をマネージするためには、個別のテーマを明確にし、優先順位を決め、解決していくことがポイントとなる。そこで、取り上げたいテーマのひとつが、「中国の歴史認識」である。問題の再なる拡大を防ぐためにも包括的な論議から具体的な課題を設定して対応することが必要ではなかろうか。

ひとつの例として、この問題を整理すると
①歴史をいつまで遡るかについての合意形成。
②両国間にあるプロパガンダの実態と対応。
③日中民間相互理解をどう促進するか。
④東シナ海の資源に対する複数解決策の構築。
⑤南京問題への複数解決策の策定。

歴史認識を解決するためには、こうした諸課題への取り組みが重要だ。これらは一握りの例に過ぎなく、挙げだせば、数十項目に及ぶことになるだろう。またこれらの優先順位について両国間で合意することもポイントとなる。

もっと言えば、特に①の日中間の歴史をどの範囲まで遡るかという線引きが、最も大きなポイントのひとつとなるが、それについての議論は聞こえてこない。そこで、歴史範囲について共通認識を確立することが、この作業の第一ステップになるのではないか。

そうであれば、日本として遣唐使時代に言及することは無いとしても、19世紀の始め、つまり日清・日露戦争まで遡ってこの問題の決着を図ることが必要ではないだろうか。東シナ海問題を解決する際にも、欧米列強による当該地域の歴史的な所有権にまで遡ることが必要になるかもしれない。

まずは歴史をどこまで遡るかについて中国側に問いただし、中国側にボールを投げるという、国としての発信にぜひ取り組んでいただきたい。これは一国民の素朴な要望である。