中国製餃子中毒の問題は、日本社会が今まで経験したことがない、未曾有の事件である。
関係者が原因究明に取り組んでいる現段階において、注意すべきポイントは、ややもすれば、原因を短絡的に特定することである。
また、問題の多様性から見て、網羅的・包括的に一挙に分析しようとするところにも、落とし穴が潜んでいる。要は、発生した現象から複数の課題を設定し、それぞれの課題に対して論理的な方法で情報を収集し分析することである。情報収集の重要なポイントは、問題現象が発生していない製品や地域に着目することであり、問題発生以前と以後の情報を確認することも必要となる。
論理的な分析のプロセスは、原因を想定するための情報や事実を絞り込むことになり、また真の原因でないものを除去するための枠組みにもなる。
2007年の第3回北京・東京フォーラム(NPO言論主催)の全体会議の報告書に興味深いコメントが載っている。それは、中国人民外交学会の要人が日本の友人の発言として紹介した、「日本は過程とデータを重視し、中国人は動機と結果を重視する」というものである。私なりに解釈すれば、過程とデータは「知識」、動機や結果は「智力」に関わることといえる。
現在、日中の共同作業で、原因究明が進んでいるが、発想や思考様式を相互に認識することも必要ではないだろうか。過程とデータから結論を得るまでのプロセスを見えるようにし、論理的な段取り(筋道)を構築することである。これをやらないと中国側の強引なペースに巻き込まれ続けることになるのではないか。