飯久保廣嗣 Blog

中国の胡錦涛国家主席が来日し、日中両首脳が共同声明に署名した。両国の相互信頼の確立は永い目で見なければならないが、中国が日中友好協力関係の強化を打ち出していることは、注目すべき点である。日本人の一人として今後の展開を見守りたいと思う。

しかし、「共同宣言」なるものについては、一言申し上げたいことがある。これが、当たり障りのない外交辞令的なものから、一歩前進した具体性のあるものにならないかと思うのである。過去の歴史や現在存在する諸問題の認識に対する両国の見解や表現方法が穏やかになったことはよい。だが、日本としては、建設的で相手に感銘を与えるような発想を共同宣言に盛り込んで欲しかったと思った。

お互いが納得できる提案を日本が考える際に、まず、どのような目的の達成を目指すか。また、両国がクリアしなければならない項目は何かなどを明確にして、検討をし、考えを構築してみれば、より効果的で意味のある「共同宣言」になったのではないか。

例えばその目的やクリアすべき項目としては、「日中の国民が諸手を挙げて賛意できること」、「アジアから世界社会にインパクトを与えられること」、「長期的に安定して展開できること」、「世界に前例がない新規性があること」、「両国が持っている資源の活用になること」……などを挙げることができるだろう。

このような発想からでてくる構想は、例えば、「世界で発生する地震、津波、台風などの天災に両国が協力して人道的な救援・支援活動を展開する機構を立ち上げる」といったものかもしれない。

こうした活動には、両国の若者を活用することも一つの手である。人に対する優しさ、建設的な活動に参加する歓びを、未来を担う若い世代が一致団結して協力することで、分かち合うのである。

そして、日本の自衛隊と中国の軍隊を平和な目的や人道的な救済支援に使用することができたら、両国の世界社会への画期的な発信になるかもしれない。このような機構は西欧にはあるかもしれないが、まだ、アジアにはない。