中央省庁の職員と「タクシー接待」の問題を、国民は一体どう考えたらよいのだろうか。こうした人たちが国の行政の中心にいると思うと本当に情けない。何の罪悪感も持たずに繰り返しこのような行動をしてきている人たちが、本当に国を動かしているのだろうか。
そもそも、中央省庁の職員は公務員である。公務員の定義は、「国または地方公共団体の職務を担当し、国民全体に奉仕する者である。中央官庁の公務員は官僚、官吏、役人とも言われ、『特に、国政に影響力を持つ上層の公務員群』のことである」(大辞林より)とある。
「国民に奉仕する者」が、自分の利便のためや特権階級意識を持って行動することに何ら疑問を持たないことは、本当に恐ろしいことだ。このようなことが長年続けられてきた背景には、これを黙認している中央官庁の「組織文化」があるのだろうか。
民間より大所高所から国益と国民のwell being(安全と幸せ)を追求し、それに奉仕するべき立場の人たちが、良識を持っていないのであれば、この国はどうなるのだろう。無論、公務員全体がこのようなことをしているとは思わない。しかし、役所の自浄作用が機能していないと指摘されても開き直りはできない。また、メディアの取材に対し、自身の意見を述べた人もいない。
問題の本質は、こうした組織文化を速やかに是正するための方策を策定し、実施することではないだろうか。
また、問題のもう1つは「目に見えない税金のムダ使い」である。つまり、タクシー接待は役所の残業による副産物であり、その大元の残業の発生を防ぐためにはどのような思考様式が必要かを、追求する必要がある。大臣の国会答弁のための想定問答集の作成などは、本当に必要なのだろうか。
後期高齢者医療制度も実施されると同時に問題が発生している。この作業がまた役所の残業の原因の1つとなる。早期の修正は現状では致し方ない。しかし、ベストは修正を必要としないような制度を構築すること。それが残業の削減にもつながる。
同時に各省の責任者が綱紀粛正のために行動することも求めたい。役人は何をしてもお咎めなしでは済まされない。放置すれば、日本の国力がさらに弱体化するのではないか。