日本ではどのようにして政治家は生まれるのだろうか。地方議員からステップアップする人、知名度の高い人(中身は別)、高級官僚OB、労働組合出身者、専門職(弁護士・医師など)出身者、企業人、学者からの転進などさまざまだろう。そして、世襲議員も数多く存在する。
ある調査によると現在の福田内閣の18閣僚のうち、世襲議員の大臣はちょうど半分の9人だという。また、衆議院議員の38%が世襲だ。そのほか、中央官庁の高級官僚が地方行政の知事や副知事、そして実力者としてどれくらいいるのかも知りたいものである。
政治は単純に企業経営と比較できないにしても、多くの企業の場合、創業社長は単に自分の子息だからといって後継者にはしない。その理由は皆さんに考えてほしい。自明のことである。
海外ではどうか。米国では、地方議員はさておき、連邦議員に上がるプロセスは多くの場合が下記となるようである。
1.大学時代に政治や国政に関心を持った優秀な人材が、夏季休暇などを利用して連邦の上・下院議員事務所やホワイトハウスでインターンとして働く。
2.政治・国政に継続した関心があると、大学院で政治学や国際関係論を学び修士を取る。または、ロースクールで弁護士資格を取る。
3.上・下院議員のスタッフとなるか、政策研究機関で働く。
4.実績と実力があれば、有力議員の政策立案スタッフとなり、法律や政策の策定をする。
5.州議員を経て、あるいは直接に連邦議員となっていく。
このように、政治のビヘービュアや政策立案の能力を充分に身に付けた人たちが国の経営を担うための議員として選出されていく。また、米国の場合、世襲は稀なことだ。ブッシュ親子は例外である。
他の主要国のシステムは知らないが、米国ではこのようになっている。だから、立法府が充分に機能し、職業官僚は政策立案には関与しない場合が多い。また、主要省庁の官僚は政権が変わると総入れ替えとなる。このため、恒例、前例などに気を使うことなく、目的を達成するための最適な法案をほとんど純粋に作ることができるわけだ。幾分の折衝はあるにしても……。
我々は、現状を傍観していていいのだろうか。ジャーナリストの方には頑張っていただきたい。
日本はエズラ・ボーゲルさんのいうような、「ナンバーワン」を目指必要はない。しかし、永田町と霞ヶ関の行動様式と思考様式に任せていると、国民生活はどの様な結果(Consequence)になるのか、よく考えたい。