飯久保廣嗣 Blog

12月26日付けの日経新聞のよると、日本の一人当たりのGNPは、世界17位にまで落ちているという。また、依然として経済規模は米国の次いで世界第2位ではあるものの、全体の中で占める割合が10%から8%台に落ちている。

地盤沈下の日本を再生するために、多方面で様々な議論が展開されている。例えば、民間では「国家基本問題研究所」が設立され、国のあるべき姿を論じ合っている。内閣にも将来の日本の方向性を模索する各種の委員会が発足している。その他、民間のシンクタンクでも多種多様な調査・分析がなされている。

そうした中、文藝春秋は2009年新春号の特集で、「2009逆転の日本興国論」という企画を打ち出し、様々な緊急提言を誌面上で繰り広げている。

だが、その興国論の内容に筆者は疑問を感じた。そのタイトルを順に挙げる。

[税金] 消費税アップは15年後でよい
[年金] 安心なさい、年金は破綻しない
[医療] 給付金より2兆円で医療再建を
[資産] 「投資より貯蓄」が老後を救う
[官僚] 霞が関の権益を排せば成長する
[会社] 「ヒト重視」日本型経営が勝つ
[金利] 白川総裁よ、金利をゼロにせよ
[格差] 最大の景気対策は貧困退治だ

どうだろうか。これらのラインナップに、何か重要なポイントが欠落していると感じないだろうか。すなわち、「教育」、「外交」、「哲学・理念」、「家庭のあり方」、「科学技術の振興」、「防衛」など、国の再建に欠かせない重要項目が全く見当たらないのである。

これをもって日本興国論という記事は成り立つのであろうか。日本を代表する総合誌がこの状態では、再生、興国などはとてもおぼつかないのではないか。政府機関や民間シンクタンク、心ある政治家は、国全体の重要かつ本質的な問題に対して、より議論を深め、こうしたメディアを通じて、発信してもらいたいものだ。