英語で対等にコミュニケーションができないアジアの国として、中国、韓国、インドネシア、タイ、日本が挙げられていたのは10年以上も前の話である。
では、最近のアジアの状況はどうか。実はビジネネス英会話力において、日本以外の国のレベルが飛躍的に向上した。アジアは一変したのである。例えば、米国のCNNでは、シンガポール、香港、韓国、フィリピンが母国のアナウンサーが活躍している。一方、日本人のアナウンサーは1人もいない。
さすがに、日本の外務省は英会話に堪能な外交官を輩出している。しかし、国際会議などで積極的に発言する日本のビジネス人は少ない。国際社会で日本からの発信が聞かれなくなり、その存在が見えなくなり、中国、韓国、シンガポールなどの独壇場になっていることはいかにも残念である。これに特効薬はない。
本場の英語を、「聞き流す」だけで英会話力が身に付くという英会話の学習法がある。確かに英語の雰囲気に慣れることはできるだろう。だが、会話力が付くかどうかは疑わしい。
結局、基本を根気よく暗記して自分のものにするという原点しか答えがないかもしれない。
そこで、あまり注目されていない方法を2つほどご披露したい。
1つは、自分が表現したいことを、自分の現在の英語力で英訳し、それを、とことん暗記することである。英訳された文章が文法的にどうであるかは心配する必要はない。誰かに添削をしてもらう必要も必ずしもない。英会話は「しゃべる」ことであるから、発信しなければならない。それは、自家製の英語でよいのである。自分の「身の丈にあった」英語でよいのである。
もし通じなければ相手は質問するだろう。その質問がわからなければ、逆質問をすればよいのである。自分のレベルやニーズに的確に合致したテキストなどは存在しない。だから、自分で作るのが一番の近道なのである。
もう1つは、英会話は相手をして、語らせることが基本であり、それには自分で事前に「質問」をいくつか作り、それを、とことん暗記して、流暢に発信できるまで訓練することである。ここでも、文法は問題ではない。「XXについて、あなたの意見を聞かせてほしい」、「それ以外の方法を考えてくれませんか」、「なぜ、このことに同意しないのですか」、「山田さんはこのことについてなんと言っていますか」などを、自分の英語の質問として創作するのである。
いずれにせよ、成人にとっての英会話では、英語を母国語としている人の猿真似はしなくてもよい。「th」の発音は、「ZA」でもよく、また、「SHI」でもよいのである。例えば、“I don't sink she is my mazar”.と発音して、あなたの「th」の発音は間違っていると指摘されることはない。要は意志の疎通ができればよいのである。