飯久保廣嗣 Blog
最近気になる出来事
安倍改造内閣が発足しました。支持率が好転したものの、政治に対する国民の不満が解消されたわけではありません。政治とカネの問題、天下り問題、官僚や首長と企業の不明朗な癒着などにより、国民の政治や官僚に対する不信感は依然としてくすぶっています。
そこで、私人(企業人)と公人の違いを考えざるを得ません。私人(企業人)は、自分の能力を駆使して、売上げ、利益、収入を生むことにより、生計を立てています。緊張感や危機感が働き、そこに努力や工夫といったものが生まれるのでしょう。翻って、公人は、公のため、つまり公益や国益のために奉仕し、必要に応じて、「公」から金銭を受け取り、生計を立てています。
日本ほど“ナショナル・インタレスト”についての論議が少ない国はないと思います。これは、一般国民から行政、そして政治家に至るまで、言えることではないでしょうか。前回の選挙で新しく選ばれた参議院議員の国民に対するメッセージの中に、“国益”という言葉はほとんど聞かれませんでした。例外的に、陸上自衛隊のイラク派遣部隊の隊長を務めた佐藤元久氏が、述べられているくらいでした。
では、どのようなメッセージがあったのでしょうか。例を引くと、「国民のための、国民から理解される、国民の納得が得られる、国民の声を吸い上げる、国民の声に耳を傾ける……そんな政治を目指す」という発言が圧倒的に多かったようです。また、「国民の審判が下された、国民が自民党にお灸をすえた、国民が政治の流れを決めた、国民が民主党を選んだ……」といった、解説やコメントも聞かれました。
外交の原点はいったいどこにあるのでしょう。以前にも触れたことがありますが、外交とは、「外国交際」を略した言葉といわれています。この「外国交際」という言葉を、文書の中に残しているのが、かの西郷隆盛です。
存命中の言葉を記した「南州翁遺訓集」によれば「正道ヲ踏ミ國ヲ以って斃ルルノ精神無クハ外國交際は全カル可カラズ 彼ノ強大ニ畏縮シ円滑ヲ主トシテ曲ケテ彼ノ意ニ順従スル時ハ軽侮ヲ招キ好親却テ破レ終ニ彼ノ制ヲ受ルニ至ラン」とあります。
また、英語のDiplomacyは、WEBSTERの辞書によると、「正当な代表者が国家間の関係をconductすること(意訳すれば、国家を代表してリーダーシップを発揮する行動をとること)」とあります。
CNNでは8月2日夜(日本時間)より、8車線陸橋崩壊の関連ニュースを、長時間放送していました。最初は、被害の規模や現場レポート、救助活動の様子を集中的に報道。ところが、24時間経過した時点で、この惨事に関する報道が、ローカルな事故から、全米、そして国際的な問題へと、その範囲を広げていったのです。
細かくその変遷を振り返ると、当初は、全米のブリッジの安全性がどうなっているのかという検証や問題提起が主な内容でした。しかし、それが引き金になって、アメリカ社会全体のインフラ整備はどうなっているのか。都市の水道の安全性や電力供給はどうかなどという、視野を広げた問題提起がなされるようになりました。
マスメディアや世間を騒がした参議院議員選挙が幕を閉じました。今回の結果は、日本の政局に大きな影響を与えることでしょう。しかし、私はそうした直近の事象ではなく、より本質的なことを考えたいと思います。それは、参議院が本来の機能を全うするために、何が必要かということです。
そのひとつとして取り上げたいのが、参議院議員に選出される「資格」です。日本の議会制民主主義のお手本はイギリスの2院制。イギリスは貴族院(House of Lords)、庶民院(House of Commons)で構成され、貴族院は名目的存在であるものの、高い審議水準を誇ることで尊敬を集め、庶民院に再考を促す機関として、広く存在意義を認められています。さらに、貴族院はSir(卿)の称号を持つ人たちで占められ、歳費は一切支給されていないそうです。また、2007年にブレア政権が貴族院の改革法案を提出するなど、貴族院本来の精神を伝承するための努力もなされています。
現在の衆参の議員数は717名です。その中には、日本の将来と国民のための国家の経営、そして国家の安全について、真剣に考え、その実現のために、努力を惜しまない政治家も数多くおられます。その方々は、自己犠牲を持って新しいビジョンをうち立て、行動を起こしていることと思います。
家業を継承した当主に能力がなければ、その家業はその時点で間違いなく倒産するか、人手にわたることになるでしょう。ところで、国や省庁は、失敗をしたり、不適切な意思決定をしても、つぶれることはないというのが、一般的な常識です。
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