飯久保廣嗣 Blog

最近気になる出来事

私は、20数年前、はじめて広島平和記念公園を訪れました。公園には、戦没者を追悼する慰霊碑や海外から贈られた記念碑が数多く見られました。千羽鶴がかけられたものも見受けられました。そこで、私は同行してくれた広島在住の友人に尋ねました。「米国からの慰霊碑はどこにあるのか」と。しかし、その時点では「ない」との返答でした(広島平和記念公園に確認したところ、今も建立されていないとのことです)。当然あるものと思っていたので、大きな驚きを覚えたのを今でも鮮明に記憶しています。

先日、私が尊敬する元衆議院議員との勉強会の中で、久間防衛庁長官の発言が話題になりました。それに関連して、この真のstatesman(政治屋ではなく政治家ということ)である元衆議院議員は、「戦後に米国大統領が広島を訪れたということはないのではないか」と、言われていました。

国際交流や相手国への理解が重要であることはいうまでもありません。そのために様々な個人や団体が活動をしています。これからは特に草の根運動的な個人対個人の活動が重要視されます。日本も国家レベルでこの領域に対し積極的な支援を展開しています。国際協力基金などはその代表的な例でしょう。

ところで、米国社会や米国文化を深く理解していると思っていた私ですが、最近、大いに反省させられる出来事がありました。

日米同盟関係がより重要になる中、米下院外交委員会で、日本政府に謝罪を求める慰安婦決議案が可決され、7月中にも下院本会議で採決の見通し、という報道があります。これは両国にとって、非常に不幸なことであり、日本政府に傍観するだけでなく、積極的な対応をお願いしたい外交案件です。

ところで、この法案の推進役は、マイク・ホンダ氏という日系の下院議員であります。ご本人の政治的野心から、カリフォルニア州政府から、連邦政府への転身を図る道具として原案を起草し、反日感情の多い、中国系や韓国系米国人の支持・支援を受けたといわれています。私はこの内容について深く触れるつもりはありません。ここで私が問題にしたいのは、日本人を先祖に持つマイク・ホンダ議員が、反日行動の先頭に立っていることです。

私の尊敬する友人であり、長年にわたりお付き合いさせていただいた人生の先輩が、先日、76歳で亡くなられました。昨年10月に発病、入院されて、約半年で帰らぬ人に。本人は、延命のための措置を一切拒否し、天寿を全うされました。

最近偲ぶ会が開かれ、私も参席しました。日米、日台、日韓関係等、日本の外交を陰で支えた人物ということもあり、安倍総理をはじめ、麻生外相や谷垣前財務相も献花に訪れていました。そのほか米国、アジア諸国からも多くの弔辞が寄せられました。

世界のどの国でも、外交は利害関係の対立から緊張や論議をもたらすことが当たり前で、友好関係が損なわれる場合もあると認識しなければならないと思います。それ故に関係する当事者の意思決定や決断は合理的であり、そしてスピーディーです。

ある講演会で米英関係の話を聞いたとき、米英同盟は常に緊張と対立の連続であると講演者は言っていました。また、これはアジア諸国でも同じことであり、例えば米韓関係では、韓国はFTAで米国と対立しましたが、合理的な判断を下し、短期決着を実現しました。よほど混乱に陥っていたり、一歩も譲れない利害対立がある場合は別にして、欧米でも、アジアでも、その他の地域でも、ほとんどの国が緊張感を持ってスピーディーな解決を図っています。

最近内閣に設置された会議に「イノベーション25戦略会議」というものがあります。座長の黒川清氏(内閣特別顧問)は、あるインタビュー記事で、イノベーションについて次のように発言されています。「イノベーションは『技術革新』と思われがちだが、それは、イノベーションのほんの一部でしかない」。

一般に「創造的破壊」と訳されるinnovationは、オーストリアの経済学者が初めて提唱した考え方です。東大医学部卒で、日本学術会議会長や総合科学技術会議議員、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授を歴任された黒川博士は、イノベーションについて、「成長し、ある程度保守的になる状況で、それを中“in-”から壊す結果として新しい価値、製品、サービスなどが出てくる。つまりそういう壊す人が出てこない社会、企業は駄目になる」と言っているのです。